職員インタビュー

ここは地域医療の理想像です。

看護師長

渡邉博美

渡邉博美

患者さまと、ご家族中心の考え方に思わず感動。

みどり病院には新卒として入職しました。きっかけは、先に別職種で働いていた学生時代の先輩に「面白い病院だから来てみなよ」って誘ってもらったことでした。最初はそこまで深く考えずに実習へ参加したのですが、もう、目からウロコの連続で。
当時はまだ『看護師は病院で働くもの』という認識が一般的で、『訪問看護』なんて言葉さえ無かった時代でした。しかし、みどり病院では、病棟、外来に加えてその頃からすでに地域のみなさんのお宅への往診も行っていたんです。その日先輩と一緒に私が訪れた先には、褥瘡(床ずれ)を発症したご高齢の患者さまがいらっしゃいました。在宅ケアを行っておられたのは、同じくご高齢のご家族。お家でできる毎日の対応として、先輩がしたアドバイスはご家庭にある道具を代用して行う処置方法。消毒状態さえしっかり守れていれば、医療機器でなくても看護ができるんだ!こんな世界もあるんだ!と、たいへん感動したことを覚えています。
外来でも、患者さまのみならず介護をされておられるご家族にもねぎらいの言葉をおかけしたり、とにかく病院全体の雰囲気が温かい印象で。ここでなら、他とは違う看護を実践できるのではないかと思って、入職を決めました。






チームで向き合うからこそ、叶えられること。



入職前の印象を『温かい雰囲気』だと言いましたが、きっと患者さまからしてみても、「ここはみんな親切だ」と思われる病院は世の中にたくさんあることでしょう。しかし、みどり病院は、向き合い方の本質が他とは少し異なります。
私たちは、患者さまにとって何が本当の親切であり、優しさなのか。目に見える症状に気をとられるのではなく、その方を取り巻く背景にも想いを巡らせ、どうすれば幸せになれるかということまで考えます。そのためには、多職種の視点から対策を考えられるチーム医療が欠かせません。数ある事例の中でも、特に忘れられないのが、みんなで鮎を食べに行った話。「どうしても鮎が食べたい。昔行った上流にあるお店がとても美味しかったから、先生たちにも食べてほしい」ある日、患者さまからそんなリクエストがありました。
その方は末期のがんで、最期の願いであろうことは全員が理解していました。
「何としても叶えてさしあげたい」。チームで何度も話し合い、実行までの対策を練りました。当日は万全を期して酸素吸入の準備も行い、医師、看護師、薬剤師、理学療法士の面々で一緒にお出かけへ。本来ならばすでに食事もほとんど摂れない状態でしたが、その日だけは、たいへん美味しそうに召し上がっておられて。後日しばらく「楽しかったなあ」と嬉しそうに話されるご様子も含めて、チームで向き合える環境で良かったと、心から実感した一件となりました。通常では諦めざるをえないことでも、どうすればできるかをみんなで考えて解決に導く。最期までとことん、患者さまの想いに寄り添う。みどり病院だからできることだと感じています。